amazarashi 「 朗読演奏実験空間 "新言語秩序" Ver. 1.01 」 感想


はじめに

 この記事では、2020年6月9日にYouTubeで配信されたamazarashiの「朗読演奏実験空間 "新言語秩序" Ver. 1.01」の感想についてまとめる。



配信情報

  • 配信日:2020年6月9日(6月16日までの期間限定公開)
  • 本来のライブ開催日:2018年11月16日
  • アプリ連動:amazarashi武道館公演 『新言語秩序』プロジェクト専用アプリ

感想

 ディストピアの雰囲気がたまらなく好きだった。 ライブ前の映像。 テンプレート逸脱、言語ゾンビ、新言語秩序、見慣れない言葉が並ぶ。 そして、それぞれの説明。 「インターネット」や「検閲」などの単語も見えて、 いかにもディストピア感が満載で本当に楽しい。

 一般市民同士の相互監視により自由に言葉が使えない世界。 あらかじめ用意された会話のテンプレート言語、 自由を求めてテンプレート言語以外を使用する言語ゾンビたち、 この世界ではテンプレート以外の言葉を使うこと(テンプレート逸脱)は犯罪であるという。 そのテンプレート逸脱を取り締まる自警団、新言語秩序。 言語ゾンビと新言語秩序の対立。 まるで小説だと思った。

 そして、そう思っていたら本当に小説があった。 このライブでは専用のアプリが存在する(ストアから無料で入手可能)。 このアプリの中には、テキストファイルや画像ファイル、 ライブ映像、抵抗運動に参加するための機能など、色々用意されている。 その一つに小説がある。

 この小説は4つの章に分かれており、 新言語秩序のメンバー「実多(ミタ)」の視点で描かれている。 小説の具体的な内容はここに書かない。実際に読んでみるか、 ライブ映像での朗読を聴いたほうがいいと思う。 アプリで小説のテキストファイルを開くと、 文章の半分くらいが黒塗りされているが、 「検閲解除」ボタンを長押しすることでその黒塗りが消える。 こういった細かい演出がなされていることに感動する。 このアプリはライブの世界観を構築するための大きなサポートを担っている。

 私の考えでは、ライブとは音楽を聴きに行くものだった。 しかし、このライブは世界観を味わうものだった。 音楽も歌詞も世界観を構築するための一つの要素、アプリも小説もそう。 全てを揃えて一つの世界を形作り、 私たち視聴者側それぞれ一人一人がその世界を受け取るのだと思う。 そして、考える。 それはどんな世界だったのか。 正しいか間違いかの2択ではなく、 どんな良い面があって、どんな悪い面があるか、考えてみる。 こんなライブも素晴らしいものだと思った。

 amazarashiがかっこいい。 amazarashiの曲はいくつか聴いたことがある。 初めて聴いたのは、アニメ「乱歩奇譚」のオープニングテーマであった「スピードと摩擦」。 乱歩奇譚のイメージにここまで合致する曲があるものなのかと驚いた。 曲がかっこいい。歌い方もかっこいい。 こんなライブを行おうと考えること自体もかっこいい。 平沢進のライブには行ったことはないが、同じように斬新なライブが繰り広げられていると聞く。 平沢進はまさに一つの世界観を作り上げることに長けていると思うが、 amazarashiもそうであると思った (平沢進も好きだったので引き合いに出してみたが、特に大きな意味はない)。

 ぜひ、実際のライブ会場に行きたい。 この雰囲気に、この世界観に、どっぷりと浸かってみたい。 正直、聴いたことがある曲は3, 4曲しかなかった。 しかし、そんなことは何一つ問題にはならなかった。 2時間があっという間に終わった。 かっこ良過ぎる。


おわりに

 amazarashiのライブ「朗読演奏実験空間 "新言語秩序" Ver. 1.01」を視聴した私の感想についてまとめた。 強く記憶に残る素晴らしいライブであった。 いつかamazarashiのライブに行くと思う。


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