小説 「 しいたけ嵐 / ジョー・力一 」 感想


はじめに

 ここでは、ジョー・力一さんがメンバー限定で公開している小説「しいたけ嵐」を読んだ感想についてまとめる。 メンバー限定で公開されているため、具体的な内容には触れない。また、ストーリーのネタバレもしない。



作品情報

  • YouTubeチャンネルのメンバーシップ限定で投稿
  • 投稿時期は1年ほど前
  • 以下に示すのは力一さんのツイート


感想

 しいたけ嵐、「しいたけ」と「嵐」。 決して寄り添うことのなかったはずの二つの単語が並んでいる。 しいたけを漢字にして「椎茸嵐」としたほうがかっこよく見える気もするが、 そうするわけにはいかないし、それではダメなのだ、おそらく。 その理由は何か。まず、「しいたけ」の理由は作品を読めば分かる。 それでは、「嵐」は何だろうか。答えは分からない。タイトルとはそういうものだろう。

 ネット小説において、作品タイトルがどんどん長くなっていく昨今。 それに対する「しいたけ嵐」というシンプルなタイトル。 「しいたけ嵐」がネット小説と同じ括りになるかどうかは置いておいて、 この五文字のタイトルでも十二分に作品を表現できることを力一さんは示している。 また、「しいたけ」と「嵐」という奇妙な組み合わせにより読者を惹きつけることだろう。 シンプルだが難しいタイトル。 ちなみに、関係ない話になるが、MTGに「千年嵐」というカードが存在していて、 「しいたけ嵐」と語呂が似ている。(MTGはマジック:ザ・ギャザリングのこと。)

 「しいたけ嵐」は、きれいな起承転結があり、 力一さんらしいオチによって締めくくられる作品であった。 総文字数は五千文字程度で、短編の中でも短い部類、 星新一のショートショートの領域かもしれない。 このような短編小説では、起承転結をまとめること、 そして自分が表現したいことを表現しきることがとても難しいと思う。

 私も短編の小説を書いたことがあるが、 その作品は短編なのに内容が薄く、自分でも何が書きたかったのかよく分からないまま終わった。 長編の小説を書くことも難しいが、短編は短編で難しいことが多い。 というか小説を書くこと自体がかなり難しくて大変だ。 どんな言い回しをするべきか、ここでどの単語を選択するか、 この文章は本当に必要なのかなど、考えることがたくさんある。 そして最後には「この小説は面白いのか」という一番大きな疑問が自分につき纏う。

 この「しいたけ嵐」はしっかりとまとまっていて完璧なオチまでついている。 シリアスなのか、ギャグなのか、掴み切れない。 まさに「ジョー・力一」という人間の雰囲気がこの小説にも漂っている。 しかし、作者を知らされずに、この「しいたけ嵐」を読んでも、おそらく力一さんが書いたとは気付かないだろう。 それはこの作品が小説の基本というかセオリーに則って書かれているからだと思う。 起承転結の付け方もそうだし、文章の書き方自体にもあまり個性を出していない。 ここでの文章の個性とは、例として森見登美彦作品のような文章をイメージしている。 ぱっと見でその文章の作者が誰か分かるほどの強烈な文章の個性。 私は力一さんの強烈な文章の個性も見てみたいなとも思っている。

 力一さんの作品をもっと読んでみたい。 しかし、小説の執筆はかなり体力のいる作業であり、時間もかかる。 アイディアもそう無限に湧いてくるわけでもない。 VTuberとしての活動も忙しい力一さんにはあまり時間も無いことだろう。 その上で図々しいことだが、一年に一本くらい投稿してくれた嬉しいなと思う。


おわりに

 ここでは、力一さんの小説作品「しいたけ嵐」を読んだ感想についてまとめた。 「しいたけ嵐」を読むことができて本当に良かった。 メンバーシップ限定の動画もたくさんあるので少しずつ視聴したい。


まとめページへのリンク

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